関数解析~ノルム空間~
どうも私です。
と、いうわけで、本日は「ノルム空間」というものを紹介したいと思います。
そもそも「ノルム」ってなんやねんというと、
ノルム・・・2点間の距離を表すもの、ベクトルの大きさを表すもの
だと思ってください。
N次元実数空間におけるノルムは、
に対して、
と表わされます。
ちなみにこの、ならば平面ですし、ならば空間ってことです。
どうして距離の概念であるノルムを、前回やった線形空間に導入するかというと、
距離を測ることが出来れば、収束や関数の連続性なんかを考えることができ、
色々な考察が可能になるからなんですね。
だから、ノルムというものを線形空間に導入すると。
では、ノルム空間を定義しましょう。
定義(ノルム空間)
線形空間 の元 に対して実数 が対応し、以下の性質を満たすと き、 を のノルムという: 任意の に対して、
(1) また ⇐⇒
(2)
(3)
ノルムが定義されている線形空間をノルム空間という。
(3)は三角不等式ってやつで解析学では超重要です。
三角形の一辺は、他の二辺を足したものより小さくなるよってやつですね。
ある距離を持つ空間が、上の定義を満たしていれば、それはノルム空間ということです。
ちなみに距離空間も同じような感じで定義ができ、ノルム空間は距離空間であることが知られています。
で、線形空間に対してノルムを導入すると、収束の概念が定義できます。
以下はその定義です。
定義(ノルム空間における収束)
をノルム空間, をそのノルムとする. このとき, 点列 \tex:\{x_n\}^{+\infty}_{n=1} \subset X]に対して、
が成り立つ があるとき、
は に収束する, または収束列と言い、
を の極限と言う。
また, このことを または
などと表す。
ノルムを導入することで、収束も定義できました。(収束の定義の中ではノルムが使われているため、ノルムを定義しなければ収束もていぎできない)
収束が定義できましたので、収束に関する諸定理も当然成り立ちます。
よって解析がとてもしやすくなりましたね。
最後に「ノルム同値」ってやつを紹介します。
ノルムを定義する際、それが一つとは限らないことがあります。
2つ以上のノルムが定義されることもあり、それらの関係を示すのが「ノルム同値」ってやつです。
定義(ノルム同値)
線形空間 に対して 2 つのノルム が定義されているとする。このとき が同値である、
あるいはノルム同値であるとは、定数 >0 が 存在して、全ての に対して
が成り立つときを言う。
線形空間 に対して同値なノルムが定義されていれば、個々のベクトルの 大きさは異なっても点列の収束等のノルム空間の基本的な性質は変わりません。
ちなみに今は有限次元の空間で話してますが、無限次元でも同値なノルムってのもありますが少ないです。
さらに、
有限次元線形空間 に対して 上の任意の 2 つのノルムは同値である
ことも知られています。
最後にその例を紹介したいと思います。
には普通次のようなノルムが定義される:
に対して
ところが 以外にも次のようなノルムが導入できる:
のときは、の中で、最も絶対値が大きくなるをノルムとするってことです。
これらはすべて同値なノルムとなります。
ノルム同値の定義を満たすので時間のある方は確認してみてください(笑)
本日は以上です!次回はBanach空間について説明します。
おかしなところとかあれば連絡ください!
akiyamatakeshi@excite.co.jp