数学系大学院生の徒然草

関西在住の国立大学院生が学問や人生、日常を徒然なるままに書き記す雑記です。できるだけ有用な記事を嗜むつもりです。

関数解析~Banach空間~

 

 

 

 

どうも私です。

学生の皆さんはちょうど試験期間かと思いますがいかがお過ごしでしょうか。

 

今日はBanach(バナッハ)空間てやつを紹介しようかと思います。

いきなりなんやねんて感じですが関数解析でまず初めに習う空間といえばこのBanach空間なんですね。

こいつに少し条件を加えたりしていくと、Hilbert空間であったりSbolev空間みたいなやつになります。

つまり超基本的な関数空間なんですね。

ちなみに関数空間てのは、関数を要素に持つ空間のことです。(普通の空間は1とか2みたいな数だけを要素に持っている)

 

ではこのBanach空間の定義を見てみましょう。

 

定義(Banach空間)

完備なノルム空間をBanach空間という。

なんのこっちゃねんて感じですよね(笑)

 

ノルム空間の意味はこちらを参照してください。

 

akiyamatakeshi.hatenablog.com

 

完備ってなんやねんって話をしましょう。 

 Xをノルム空間とし, |・| をそのノルムとします。点列\{x_{n}\}^{\infty}_{n=1} \in X がある x \in X に 収束するとします。

このとき, 任意の n, m \in N に対して三角不等式より |x_n −x_m| \le |x_n −x|+|x_m −x| となりますね。(n,mは番号を表している)

ここで n, m → \infty とすると, この不等式の左辺は0 に収束するので、

(1) |x_n −x_m|→ 0 (n,m → \infty) となります。

(1) は、点列 {x_n}^{\infty}_{n=1} は n, m が大きくなるにつれて互いに近づきあうことを示して います。この性質より、Caucgy列を定義しましょう。

 

定義(Cauchy列)

\mathbb{R}^N における点列 {x_n}^{\infty}_{n=1} が (1) を満たすとき, {x_n}^{\infty}_{n=1} を Cauchy 列という.

 

 

さらにCauchy列は収束列であるという次の定理も成り立つ。

 

 

定理

\mathbb{R}^N における点列{x_n}^{\infty}_{n=1} が Cauchy 列ならば, n→\infty とき, {x_n}^{\infty}_{n=1} はある x \in \mathbb{R}^N に収束する.

 

 これを\mathbb{R}^Nの完備性というのである。

 

以上が完備性の説明ですね。

これでBanach空間の定義は何となくわかってもらえたと思います。

考えている空間がBanach空間かどうかを調べたければ、

点列を取ってきてですね、完備になるかどうかを確かめればよいということです。

 

線形空間の完備性は非常に重要で、数値計算で近似解を求める場合にも必須なんですね。

よって工学系の人たちなんかは近似なんてよく使うでしょうからこれらの概念を知っていても損ではないでしょう。

 

また、\mathbb{R}^N においては Cauchy 列は収束列になりますが、一般のノルム空間においては、 Cauchy 列は必ずしも収束列にならないことが知られています。

 

本日は以上です!

最近忙しくて全然記事が書けていませんね。。。

がんばります(笑)

 

akiyamatakeshi@excite.co.jp